趣きある風景を楽しんでみませんか

稲荷社杉風(いなりしゃさんぷう)
老杉の立木は、こんもりと社殿を囲み、梢は風を鳴らしている。
深々とした静寂感があたりを包み、神の啓示を待つかのようである。

冨士社晩霞(ふじしゃばんか)
薄紫の霞が、森巌の境内に漂い流れてくる夕べ。
人声稀に、想いは悠久の神の代に遡る。

石神城春草(いしがみじょうしゅんそう)
古城、何かを語る。栄枯の夢を偲びつつ、歩を移せば、
禅寺長松院と、内宿溜が静穏な気配を漂わせている。

願船寺晩鐘(がんせんじばんしょう)
晩鐘は韻々として野面を渡り、遥か阿武隈の山波に消えて行く。
ひねもす働ける者の安らぎよ、つつましき祈りよ。

久慈川河口緑波(くじがわかこうりょくは)
久慈の清流は、母なる大海に抱かれ、打ち寄せる波は、
豊岡の松原の緑に映える。遠く潮騒が太古の響きを伝えてくれる。

白方溜螢影(しらかたためけいえい)
植田宮の鳥居の倒影、夏の宵の蛍の明滅。
たたずめば涼気が肌をうち、さざ波立って、再び水鏡の静けさを返える。

阿漕ヶ浦夜桜(あこぎがうらやおう)
闇の深さに匂いたつ、爛漫たる夜桜。
万灯の輝きに、微風の花びらを水面に散らすころ、宴いよいよたけなわとなる。

細浦青畝(ほそうらせいほ)
広闊たる稲田の上を鳥影が掠める。宗祗の詠めし天神山をわきに見て、
野坂をたどれば、名も知らぬ小さき草の花々。

村松晴嵐(むらまつせいらん
朝陽は山気を立ち昇らせ、遥かに白砂青松を見晴かす。
背に虚空蔵尊、大神宮の床しい御堂。

如意輪寺秋月(にょいりんじしゅうげつ)
月影はさやかに、大イチョウの梢にかかり、照沼の野は、
ふりそそぐ月光に冴え返る。阿武隈は遠く、黒き眠りのなかにある。

真崎浦夕照(まさきうらせきしょう)
落陽の厳かさよ、壮大な朱金色の華やぎよ。巨大な日輪は、いまその終りの姿を西丘の森のかげにし沈めようとしている。

住吉社寒霜(すみよししゃかんそう)
清浄な参道にふりしいた白い朝霜のきびしさ。凛乎とした冬の表情。
やがて開くヤブツバキが、森かげに可憐なつぼみを膨らませる。

back  home